201602.01
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米国での事業展開と子会社の設立について

「日本の企業がアメリカでビジネスをするのに子会社を設立をしないで事業を開始することができるのか?」という質問が当然出てくると思います。様々なケースがあると思いますが、子会社を設立せずに事業展開をすることは可能です。

そもそも、現地法人を設立して行おうとすることを、子会社を設立する前に、エージェントやコンサルタント、弁護士を使って行うということを検討するというのは非常に有効だと思いますが、私が見る限り、日本の企業の多くの方々はそのような選択はされていないように思います。

例えば、ビジネスそのものは日本から十分行えるけれど、「やっぱりアメリカのお客様のサポートには米国にもコンタクト先があった方がいいだろう」とか、「アメリカのお客様に対応するのはアメリカ人がいい」、ということの理由ででアメリカに子会社を作りました、という場合、子会社を作ってしまうと、子会社はコストや経費はかかりますが、ビジネスの収入が得られるわけではありませんから、親子間で何らかの役務提供とその対価支払いを定める契約を結ぶ必要があります。

そうなると、子会社のタックスリターンに親会社の財務諸表を開示しなければならないだけでなく、その契約は関係会社間取引として移転価格税制の対象となりますし、子会社の課税所得は親会社の完全なコントロール下にあることになり、その正当性をIRSに問われた場合には、非常に困窮することになります。

これ以外にも現地法人を作らずに事業展開した方がいい場合は色々ありますが、それは次回に。


このコラムは、一般的な事例における筆者の経験を読者の皆様と共有するものであり、特定の事実関係に基く法解釈をご説明する practice of law (法律相談行為)となるものではありません。従いまして、読者の方々と筆者との間に attorney-client 関係を形成することは全く意図しておらず、内容についてご興味があり、更なるご説明をご希望の場合には、まず attorney-client 関係の条件等についてご相談することになりますことをご了解ください。