201603.01
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米国訴訟と日本企業 (ミニマム•コンタクトとは)

現地法人を設立するのは、勿論、日本の親会社が米国で minimum contact を有して「米国での司法権がその親会社に及んでしまうことを避ける」という効果もあり、その為の形態にはcorporation が最も適していて、partnership・LLC では親会社が partner・LLC member となると、親会社が米国で trade or business に携わっている、つまり minimum contact を有する、ということになってしまうのではないか? というご意見には全く同感です。

しかし、会社の責務を考える際には、親会社だけでなく、その役員や従業員についても考慮すべきだと思います。

Minimum Contactって、なんでしたっけ?

日本企業が米国子会社を設立した場合、その Board of Directors や Officers には、親会社の役員や非取締役従業員が名を連ねています。そうすると、米国でその事業体の事業活動に関して第三者が訴えようという場合、現地法人の子会社だけでなく、資力のある親元つまり賠償金をたくさん取れる可能性のある、親会社をも訴えようということになります。

現地法人の子会社がなければ、米国には jurisdiction のない日本法人の親会社に対して有効な Service of Process をするためには、ハーグ協定に定められた国際紛争手続きにもとづく手順を経なければならず、しかも米国には親会社の資産は何もありませんから、例え Service of Process がハーグ協定の手続きなしに有効とされても、さほど戦々恐々とすることはありませんが、子会社が存在すると Service of Process は子会社に対してはできてしまい、訴訟に対応せざるを得なくなります。しかも子会社のディレクターや執行役員に親会社の社長や役員が名を連ねていれば、そのれらの個人に対する Service で、親会社への Service であるという主張をされてしまい、少なくともそれを争うためだけでも、親会社も訴訟に巻き込まれてしまいます。


このコラムは、一般的な事例における筆者の経験を読者の皆様と共有するものであり、特定の事実関係に基く法解釈をご説明する practice of law (法律相談行為)となるものではありません。従いまして、読者の方々と筆者との間に attorney-client 関係を形成することは全く意図しておらず、内容についてご興味があり、更なるご説明をご希望の場合には、まず attorney-client 関係の条件等についてご相談することになりますことをご了解ください。