この木の管理責任は誰に? – 隣家の枝葉が敷地に侵入
庭の木々が水不足にも負けずに夏の光を浴びてぐんぐんと成長していますね。木々はありがたい存在ですが、時には厄介なこともあるようです。
ご相談例 (シリコンバレーのMさんより)
Q. 私の居住敷地内にある一本の大きな木のことでご相談です。
隣人からこの木の剪定を依頼されています。
お隣の敷地と住居の上まで枝が張り出しており、費用の一部をその隣人がご負担されるとのご意向ですが、このようなケースの木の剪定の責任は誰にあるのでしょうか?
又、一般的に侵入した枝葉の管理責任は、法的に誰にあるのでしょうか?
費用負担の発生しない低木の枝葉の場合は、一般的にその根部分が存在する敷地持ち主に断ることなく、剪定などの手入れをされていると理解しておりますが、実際のところはどのような扱いになりますか?
A. 隣の家の敷地へ侵入した枝葉の管理責任は、その枝葉のついている木の持ち主にあります。
隣地への侵入は理屈では Trespass (不法侵入) なので、隣地の住人は勝手に侵入した部分の枝葉を切除する・果実などを収穫する権利がありますし、侵入した枝葉によって何らかの損害を隣地が受けた場合には、木の持ち主に賠償責任があります。
でも隣地の人は木に損害 (枝葉を切ったために枯れてしまうとか) を与える権利はありません。
と、いうことで、この木の剪定の責任は木が存在する土地を所有する M さんにございますが、木の剪定費用を一部負担して下さるというのは非常に良心的だと思います。
このコラムは、一般的な事例における筆者の経験を読者の皆様と共有するものであり、特定の事実関係に基く法解釈をご説明するpractice of law (法律相談行為)となるものではありません。従いまして、読者の方々と筆者との間にattorney-client関係を形成することは全く意図しておらず、内容についてご興味があり、更なるご説明をご希望の場合には、まずattorney-client関係の条件等についてご相談することになりますことをご了解ください。