「REAL Property」投資と「ライセンス」
「Real Property」の「Real」っていうのは、英語の「真実の」という意味ではなくて、英語の「royal」にあたるスペイン語だということをご存知ですか?
つまり、土地は「王様」の持ち物で、我々はその使用権をお借りしているだけなんです。もちろんその使用権を転売することも、遺産相続することも、他人に使用させてその使用料をとることも許されていますが、どこまで行っても、個人の持ち物でなくて、「王様」、つまりお上(Government)の持ち物です。「そんなはずはない、私の土地は私のモノだ!」という反論が聞こえますが、では毎年お上に取り立てられるProperty taxを払わなかったらどうなりますか?あるいは、お上にお許しをいただいた用途(Zoningですね)以外に使えますか?そういうことを考えると、土地はやっぱりお上のモノでしょ?
それはさておき、最近複数の日本在住の方々から、「アメリカの不動産投資で困っている」というご相談の依頼がいくつかありました。お話をお聞きすると、サンフランシスコ在住の日本人の「不動産投資コンサルタント」なる方の「投資セミナー」で勧められて、テキサス州のCorpus Christi市のコンドミニアムの不動産物件を買ったけれど、言われたほどの利益が上がらない、逆に損している、という、同じようなケースのご相談でした。物件の住所はバラバラで5件以上あり、他にも多くの方々が同じように投資された、ということですから全体ではかなりの件数になると思います。その「不動産投資コンサルタント」はカリフォルニア州でもテキサス州でも「Real Estate Broker」のライセンスを持っておらず、勧めた物件を購入するときには、物件の持ち主から、「不動産投資コンサルタント」が有するテキサス州のLLCが一旦購入し、買い手はそのLLCから、「不動産投資コンサルタント」の「手数料」を上乗せした金額で買い取るというのがスキームだそうです。話をお聞きしていて、「何でライセンスもない人の勧めに乗ってそんな大金をホイホイ払ったのですか?」と思わず聞いたら、「ライセンスがあると色々な規制の対象になって商売がやりにくから、と言われて納得した、ということでますますびっくりしてしまいました。
Real Estate Brokerに限らず、医者やCPAや、私のような弁護士もそうですが、そもそも「ライセンス」というのは、ある特定の専門的職業に従事する人が、一定以上の必要な知識を有し、一定の倫理規則を守るという約束をした人という資格証明です。そのライセンスを持たないというのはそういう知識がないか、倫理規定を守るとは限らない人である、ということですから、ライセンスを持たないことを知りながら、ライセンスの必要な業務を任せて大損したのは半分以上ご自分の責任でしょ、と言いいたくなります。
Visaに関しても、Law ライセンスを持たないリロケーション業者等がVisaの申請相談を行っているとか、F-1やVisa-waiverで米国入国して不法就労していたけれども、成功して何らかのVisaをとれたという非常に例外的にラッキーだった方が、Facebookで堂々と自分の違法行為を書いて、相談にのりますよ、なんていうのを時々見かけますけど、皆さん、そういうのに引っかからないようにご注意ください。
このコラムは、一般的な事例における筆者の経験を読者の皆様と共有するものであり、特定の事実関係に基く法解釈をご説明するpractice of law (法律相談行為)となるものではありません。従いまして、読者の方々と筆者との間にattorney-client関係を形成することは全く意図しておらず、内容についてご興味があり、更なるご説明をご希望の場合には、まずattorney-client関係の条件等についてご相談することになりますことをご了解ください。