アメリカでは、税金の申告および納税は、個人責任にて行われます。
アメリカで働く居住者は、州政府と連邦政府に対して税務申告書を提出し、所得税を納めなければいけません。永住者(グリーンカード保持者)や米国市民に限らず、E・L・H ビザなどで一時的にアメリカに滞在している人も税法上の居住者として申告義務の対象となるだけでなく、税法上は非居住者扱いとなる F・J ビザ等で米国に滞在している方々も、米国源泉所得があれば申告納税義務の対象となる場合がありますので注意が必要です。申告漏れ・納付漏れのペナルティーを避けたり、過払いの税の返金を受けるためにも、タックスリターン (tax return) と呼ばれる確定申告について理解することは非常に重要です。
会社員には源泉徴収制度はありますが、給与以外の特別な収入などがないと確定申告は不要な日本と違って、 アメリカでは年末調整という制度はなく、確定申告の義務は源泉徴収の有無に関わりません。
確定申告を行うと、少なめに源泉徴収されていたり、予納額が少なければ差額を納税し、 多めに納税、源泉徴収している場合などには余分に払った分が返金されます。
確定申告の義務を負う人
米国税法上、米国居住者(Resident)として扱われる人の中で、全世界で一定額以上の所得がある人は申告の義務を負います。
また米国税法上米国非居住者 (Nonresident) として扱われる米国滞在者 (F・J・M・Qビザ保持者等) は、米国源泉所得に関して、申告の義務を負います。
アメリカで市民権や永住権を持つ居住者だけでなく、F・J・M・Q ビザ保持者以外でも、過去三年間の米国滞在が一定基準 (本年の滞在日数+前年の滞在日数x1/3+前々年の滞在日数x1/6が183日以上)であれば税法上は米国居住者 (例外はあります) とされ、その年の全世界所得の申告納税の義務があります。
課税対象となる所得: アメリカ国外の収入も対象です
課税対象となる全世界所得には、会社からの給与の他にも、銀行利息・株の配当、ギャンブルの賞金、失業保険受取額等、米国税法上で何らかの例外に該当しない限り、世界中のどこで受け取っていたとしても、ほぼ全ての収入が課税所得となります。アメリカ国外での収入も含まれますので、特に日本から出向された駐在員の場合、日本国内で受ける留守宅手当や国内給与もアメリカでの課税所得対象となり、要注意です。日本の不動産を賃貸に出している場合の収入も、アメリカでの納税対象になりますが、日米租税条約の規定により、日本で払った税金分については、アメリカの確定申告においては控除ができます。
また、アメリカ国外に年間のどこかの時点で計 $10,000 以上の金融資産 (銀行口座・株式投資口座等) を保有していた場合は、全ての金融資産について、IRS に開示申告 (FBAR) をする義務があります。開示報告を怠った場合、この FBAR のペナルティは厳しく、最悪の場合は刑事訴追されて最高 5 年の刑務所行きとなることがありますし、民事罰でも、開示もれ 1 件について $100,000 または開示漏れした口座の残高の 50% のいずれか大きい方が課せられることがありますので注意が必要です。この FBAR はこれまで開示報告をしていなかった方が比較的多くいらっしゃるのですが、日本のマイナンバー制度の導入に伴い、IRS に見つけられてしまう危険が高くなっています。
申告の方法
十分な確定申告の知識と経験がある方は、IRS のウェブサイトなどから所定の申告用紙 (Form 1040 など) をダウンロードしたり、TurboTax などのソフトウェアやオンラインサービスを使用して、自分で申告できます。
でも、株の取引、ストックオプションの行使・不動産の売買など、申告対象の収入が多岐にわたるほど申告書作成は複雑になります。連邦(IRS) だけではなく カリフォルニア州にお住まいの方はカリフォルニア州政府に対しても申告納税義務があります (State Tax Return)。それぞれの申告には別の Form (書式)がある上に、アメリカ税法は毎年改正され、複雑な規定も多いので、自営業やフリーランス、また会社員でも会社以外からの特別収入があったり、日本国内 (アメリカ国外) での不動産、預金•金融資産、給料を得られている場合は、自分で申告するがコストを抑える目的では有効のように思われるかも知れませんが、書類の不備や誤りにより、IRS から問い合わせがあったり、あるいは examination (税務監査) を受けてしまった場合などを考えると、専門知識と経験を備えた Tax Attorney や公認会計士にご相談されることをお勧め致します。
2016 年度の申告締め切りは、2017 年 4 月 18 日です。専門家への相談はどうぞ早めに。
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